札幌で開かれたJFN青年部会の研修会に、外部講師として参加しました。私の講演はAI活用がテーマでしたが、この研修会で一番の収穫は、参加各社の経営者の発表を聞けたことです。
研修会は2日間で、1日目が「AIの活用について」、2日目が「賃上げの内容と効果について」。それぞれのテーマで、各社が5分ずつ自社の取り組みを発表する形式でした。運送会社の経営者が、良い事例も悪い事例も含めて率直に話す場は貴重です。会社名や個人名は伏せて、そこで感じたことを書きます。
AI活用は、手探り。でも確実に始まっている
正直に言えば、AIの活用はまだ手探りの会社がほとんどでした。「何から始めればいいか分からない」という声が、経営者からも率直に出ていました。
一方で、資料やスライドの作成、文書のたたき台づくりなど、身近な業務から使い始めている方も少なくありませんでした。経営者自身が「まずは自分で触ってみた」という発表がいくつもあり、AIへの期待と、情報漏洩や間違った回答への懸念の両方が、率直に語られていました。
大きな仕組みを入れた会社はまだありません。それでも、「まずは使ってみる」という一歩を踏み出した会社が確実に増えている。この段階で経営者が自分で触っているかどうかは、1〜2年後に大きな差になると感じました。
賃上げは、地道な改善の積み重ね
2日目の賃上げの発表は、AI以上に学びがありました。
ここ数年、各社が賃上げを行ってきた中で、その原資をどう作り、どんな効果があったかという話です。日々の改善をコツコツ積み重ねてきた会社、給与制度や評価の仕組みを作り直した会社、福利厚生や年間休日の見直しに力を入れた会社。やり方はそれぞれでしたが、共通していたのは、いかに無駄をなくし、車両1台あたりの売上と利益を上げるか、という一点でした。
印象に残ったのは、その多くがシステムやAIの導入ではなく、ドライバーや社員一人ひとりの工夫から生まれていたことです。積み込みの手順を変える、待機時間を減らす交渉をする、燃費の良い走り方を共有する。そうした現場の工夫が、具体的な数字とともに紹介されていました。
AIやシステムは、現場の工夫を後押しする道具
AIの話をしに行った立場で言うのも変ですが、この2日間で確認できたのは、現場の工夫だけでもこれだけの効果が出る、という事実でした。
だからこそ、AIやシステムの役割もはっきりします。現場の工夫を置き換えるものではなく、その工夫をもっと速く、もっと広く、もっと続けやすくするための道具です。ベテランの頭の中にある段取りを見える化する。改善の効果を数字で追えるようにする。同じ工夫を別の拠点にも広げる。AIが得意なのは、そういう部分です。
運送会社の経営者の皆さんの生の取り組みを聞けたことで、私たちが提供すべきものも、より具体的になった2日間でした。



